


ゆいは一番小さな星をそっと だきよせ、自分の まくらもとに ねかせました。すみれ色のくもはしんとしずまり、あたたかい重みが むねに のこります。ゆいの目もゆっくりと閉じて、深いねむりにつきました。
世界にただ一冊。ずっとあなたのもの。
Lumora の絵本
ゆいのための一冊
lumora.kids

小さな星は、ふわあ、と大きなあくびをしました。その光がさざなみのように くものにわ いっぱいに広がっていきます。三日月さんも、すみれ色の夜空も、そっとまぶたを閉じました。


ゆいは手をゆるめ、つぼみにそっと耳をあてました。「もうねる時間だよ」ゆいは小さな声でささやきました。つぼみはひとつ息をすうように ふるえて、ふわりと 花ひらきました。


ゆいはくものかいだんを、とんとんとのぼっていきました。いちばん高いところで、小さなつぼみの くきを きゅっと 引っぱってみます。星はまだかたく閉じたまま、ちっとも開いてくれません。


三日月さんの歌声が、だんだん低く、ゆっくりになっていきます。でも、いちばん高いところの小さな芽だけは、かたく閉じたままでした。ゆいは ぎんいろのつるを見あげて、じっと動きません。


三つの星は、ぽん、ぽん、ぽんと くものベッドに飛びこみました。ふかふかのくもに、まあるいおしりがしずみます。三つはくっつきあって、ひとつの光になりました。


ゆいはくものふとんを両手でとんとんと たたきました。ふくらんで、ふくらんで、ホイップクリームみたいになりました。「ほら、やわらかいよ」ゆいは ぎんいろの星たちに言いました。


となりのつるには、ぎんいろの星が三つ並んでいます。ゆいが手をのばすと、星たちはきゅっと身をすくめて、高いところから動きません。「したは遠いね」と、ぎんいろの星のひとりがささやきました。


ゆいがちいさな声で こもりうたを くちずさむと、きんいろの星は くるくる回るのを やめました。星はゆいの手のひらに、ぽとんと落ちてきました。あたたかい ももの ように、光がすうっと 弱くなりました。


きんいろの星はくるりと回って、つるの上を おさんぽみたいに 転がっていきます。くものベッドのそばまで来ても、また むこうへ 行ってしまいます。「こっちだよ」ゆいは両手を広げて、そっと手まねきしました。


つるがゆれると、三日月さんがそっと歌いだしました。「ゆいちゃん、星たちが重たくなってきたよ」。ゆいは せのびをして、いちばん大きな きんいろの星へ 両手を のばしました。


すみれ色の夜空に、くものにわが ふわりと うかんでいます。ゆいがそっと足をのせると、くもは はねぶとんのように しずみました。ぎんいろのつるがのびて、小さな星のつぼみたちが、ゆらゆらと まばたきしています。

ゆいへ
Lumora の絵本
ゆいのための一冊



