


ぎんいろの光がそうたのかたに降りて、そっとあたたかくなりました。しずかな声が、もう一度たずねます。「きみは、ひかりのなかの おはなしが よめたかな?」そうたは星たちを見上げて、大きな声で答えました。「うん、ひかりの なかの おはなし、ちゃんと よめたよ!」
世界にただ一冊。ずっとあなたのもの。
Lumora の絵本
そうたのための一冊
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クマの話が終わると、そうたはまだ暗いままのページを見つけました。きんいろの線が、そこにもそっとかくれています。そうたは指をそのページに向けて言いました。「つぎは、これだね。ぼく、もう分かるよ。」足の下で、光がひとつ、こたえるようにまたたきました。


ぎんいろのクマが、そうたのすぐとなりにすわりました。大きな体の中で、星の光がとん、とんと明かりのように点いたり消えたりしています。クマは低い声で、むかしの空の物語を語りはじめました。「その昔、まいごになった一つの光がいてね……」


かいだんのまんなかに、ぎんいろの動物たちがそっと降りてきました。クマがそうたの右に、ライオンとシカが左によりそいます。まるいひかりが、そうたをやさしく包みました。「ひかる ページを ひらくとき、ほしの とびらが ひらかれる。」


つぎのページには、丸まった小さな点がありました。そうたはひざを曲げ、クマの形にそっと体を寄せます。とん、とん、とふむたび、頭の上で光がふるえ、クマ、ライオン、シカが次つぎにまいおりてきました。ぎんいろの毛なみが、そうたのまわりでしずかに光っています。


そうたは、ハクチョウの形にきんいろの線がのびるページを見つけました。両足を、そっとその線にそろえます。つま先を広げ、両手を大きく開いて、空のハクチョウとおなじ形に立ちました。足のうらに、とくん、と小さな音がなりました。


そうたは頭の上を見上げ、それから足もとのきんいろの点をもう一度見つめました。星ざとおなじ形が、ページのうえにそっと並んでいます。「あ」そうたは小さく声をあげました。この線は、足でふんでたどる道だったのです。


こえは、そらまで とどきませんでした。そうたは しゃがみこんで、足もとの ページを じっと見つめます。きんいろの線は もじではなく、ちいさな点と点を むすんだ もようでした。それは、あのクマの かたちと そっくりでした。


そうたはページに書かれたきんいろの文字を、そっと声に出してみました。「ひかる ページを ひらくとき、ほしの とびらが ひらかれる。」けれどぎんいろの動物たちは、空の遠くで止まったままです。そうたは首をかしげ、もう一度そのページを見つめました。


散らばった光が、そっと集まって、もとのクマの形にもどりました。頭の上から、しずかな声が聞こえてきます。「ひかりは 手では つかめない。ひかりの 道を たどるのだ。」そうたは手を下ろし、じっとクマの声に耳をすませました。


そうたはかいだんからそっと手をのばし、ぎんいろのクマにさわろうとしました。指がふれる、そのすんぜんに、光はぱらぱらとほどけてしまいます。クマはひとまわり高いところへ、すうっとにげていきました。そうたの手は、ひえた夜の空気だけをつかんでいました。


くるくるかいだんのまんなかで、そうたの足がふと止まりました。ページをのぼる本の音がやみ、あたりはしんとしています。顔を上げると、丸てんじょういっぱいにぎんいろの光がうかんでいました。クマの形、ハクチョウの形、じっと動かずに遠くできらめいています。


そうたは、いちばん下の本にそっと足をのせました。表紙はひんやりして、しっとりとあたたかい光がにじんでいます。「ひかる ページを ひらくとき、ほしの とびらが ひらかれる。」そうたはむねをどきどきさせながら、一歩、また一歩とのぼり始めました。


星の図書館の入口で、そうたは立ち止まりました。見上げると、光る本を積みあげた木のかいだんが、くるくると回りながら夜空の丸てんじょうまでのびています。ページのひとつひとつが、きんいろにしずかに息をしていました。どこからか、やわらかな声がしました。「きみは、ひかりのなかの おはなしが よめるかな?」

そうたへ
Lumora の絵本
そうたのための一冊



